ABNさんとの映画鑑賞(前)
今日は同級生のABNさん(かわいらしい女性です)と映画鑑賞に行きました。今日は観た映画の感想を書いていきたいと思います。無論感想ですから、ネタバレを大いに含むでしょうから、まだ御覧になっていない方はブラウザバックしてください。
一本目の映画は『ひるなかの流星』です。ちなみに原作は未読です。
あらすじをパンフレットから引用してみましょう。
恋愛未体験の与謝野すずめが転校先の高校で出会ったのは、上京初日に迷子になっていたのを助けてくれた担任教師の獅子尾。少し軽いけど優しくて面倒見のよい獅子尾に、すずめは生まれて初めての恋をする。一方、すずめのことが気になりながらも、教師という立場から素直になれない獅子尾。そんな中、すずめはクラスで隣の席に座る“女子が大の苦手”なはずの馬村から告白される。果たしてすずめの初恋の行方は……?
それでは、ネタバレしながら感想を書いていきます。
まず、この映画を観る前に私が話の流れとして考えていたのは、「すずめが獅子尾に恋する→獅子尾は教師として断る→失恋したすずめに馬村が告白、付き合う→獅子尾はすずめを諦められず告白→すずめは結局、獅子尾を選ぶ」というものでした。
しかし、結果としてすずめは馬村を選びます。想像を裏切られ、少々驚きました。つまり話の流れとしては、「すずめが獅子尾に恋する→獅子尾は教師として断る→失恋したすずめに馬村が告白、付き合う→獅子尾はすずめを諦められず告白→すずめは馬村を選ぶ」というものです(正確ではありませんが、おおまかには)。
なぜすずめは馬村を選んだのか。劇中でのすずめの言によれば、「自分の気持ちと向き合った結果、自分の大切な人は先生(獅子尾)ではなく馬村だった」とのことです。
ここで一つの疑問が生まれます。「すずめが馬村を選ぶことを示唆する描写があったか」ということです。私の勘違いでなければ、特定の場面描写はなかったはずですが、映画を通して考えると、獅子尾より馬村の方がすずめと同じ時間を長く過ごしていました。獅子尾は要所要所ですずめの前に現われる感じですが、馬村はずっとすずめと一緒にいる感じです。
つまり、映画の流れ全体を通して、すずめが馬村を選ぶことを示唆していたとも見ることができるかもしれません。とすると、この映画は「すずめ・獅子尾・馬村の三角関係」というより、「すずめ・馬村のカップルのもとにちょくちょく出てくる獅子尾」という感じなのかなと思いました。
ダラダラ長く書いてきましたが、まとめると面白い映画でした。
斉藤光政『偽書「東日流外三郡誌」事件』(新人物文庫、新人物往来社、2009年)
ブログに最初に書くものとしては「どうなのか」と感じなくもありませんが、昨日読了した本の感想を書いてみたいと思います。
- 作者: 斉藤光政
- 出版社/メーカー: 新人物往来社
- 発売日: 2009/12/07
- メディア: 文庫
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400頁を超えるなかなか厚めの本ですが、東奥日報社の記者だった著者の文章は軽妙でスラスラ読めてしまいました。
私自身、「東日流外三郡誌」は名前は聞いたことがあっても、読んだことはないものでしたから詳しくは知らなかったのですが、本書を読んでそのあまりの「ぶっ飛び」ぶりに驚いた次第です。
事件当時、私は幼い子供だったのでよく分かりませんが、日本全国を巻き込んだ大事件だったということが本書でよく分かりました。
しかし、なぜこんな事件が起こったのでしょうか。本書を読んでいて印象に残ったのが、偽史研究家の原田実が著者に語った言葉です。
『外三郡誌』は、津軽には古代から中央政府に対抗する一大勢力があった、われわれは敗者ではなかったのだ――と説きました。だからこそ、屈折しがちな東北人の心に快く響いたのではないでしょうか。ある意味で、東北人の心の底に潜むコンプレックスを悪用したのです。そして、『外三郡誌』の作者である和田さんは、東北人の歴史的地位を高めようとするあまり、逆に、東北独自の歴史と文化を偽史によって抹殺してしまったといえるのではないでしょうか。
東北には、三内丸山遺跡に連なる立派な歴史と文化があるというのに……。『外三郡誌』はそれに泥をかけたのです。悲劇としか言いようがありませんね。歴史的文書の偽作が事実上、野放しにされているような時代は、現代をおいてほかにありません。それは、 言論の自由の成果というよりは、社会が歴史そのものを軽視している結果なのではないでしょうか
「東北人の心の底に潜むコンプレックス」という言葉が東北人である私の胸に刺さります。本書には「東日流外三郡誌」に振り回された人々の姿が描かれています。いずれも「自らの故郷をおこしたい」という人々の気持ちを、巧みに「東日流外三郡誌」が利用した結果、このような事件になったのでしょう。
今まで詳しく知らなかった「東日流外三郡誌」事件を勉強できたいい本でした。